教育改革のかなめ「アクティブ・ラーニング」とは?

近年注目を集める「アクティブ・ラーニング」という言葉、聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
これは学校教育における新しい“学び方”のことで、現在、大学はもとより高校、中学校、小学校の授業に導入され始めています。
具体的にどういう学び方なのでしょうか?

「アクティブ・ラーニング」とは?

「アクティブ・ラーニング」は、生徒が「主体的」、「能動的」に学ぶための学び方です。
これまでの日本の授業というのは多数の生徒・児童を前に一人の教員が教科書に沿った講義を行い、生徒・児童らはそれを座学で聴講、板書されたものをノートに書き写すというのが基本のスタイルでした。
個人の学習としても定期テスト、入試対策のために授業で習った内容(知識・技能)を詰め込むというのが大多数のやり方。そのため学校教育は一方的な知識伝達であり生徒・児童らは必然的に「受動的」な学び方にならざるを得ない状況でした。

そこで、生徒・児童がもっと「主体的」、「能動的」に学べるように導入されたのが「アクティブ・ラーニング」という“学び方”です。と言ってもこれに決まった方法はありません。
現在、教育関係者を対象とした「アクティブ・ラーニング」の勉強会やフォーラムが数多く開かれ、どのような授業が効果的なのか、生徒の反応や手応えを確認しながら教育現場に取り入れられているというのが実状のようです。

具体的な例としては、学習内容をより深く考察するためのフィールドワークやレポート、学校内や地域で実際に起こっている問題を取り上げ、現状を把握したうえで解決策を模索する「PBL(problem based learning)」など様々。
面白い実践例としては “習った内容を誰かに教える”という状況を作るものもあります。
これは、まず従来の授業スタイルで教師が生徒たちにある内容を講義。
その後生徒たちは数人のグループに分かれ、その内容をまだ習っていないクラスの生徒に教えるため、資料を作って発表するというもの。この作業では、習った内容をしっかり把握することはもちろん、それをわかりやすく伝えるためにはどうすればいいか、また自分はその内容に対してどのような考えを持っているのかということを言語化しながら確認する力が身に付きます。

今後、「アクティブ・ラーニング」はさらに多様化すると考えられますが、ポイントは生徒が主体的に学ぶということを意識しながら勉強を進めていくことにあるでしょう。

「アクティブ・ラーニング」の背景

では、なぜ今「アクティブ・ラーニング」が注目され出したのでしょうか。

■ 発端

この動きが教育業界全体に広まったきっかけは、2014年11月、下村文部科学大臣(当時)から中央教育審議会(中教審)に出された「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」という諮問の中にあるようです。

ここには、“(大学の授業に加え)小中高それぞれの学校でも課題の発見・解決のために主体的・協働的に学ぶ学習(アクティブ・ラーニング)を充実させてほしい”という内容の一節があります(ちなみに大学でのアクティブ・ラーニングについては2012年8月、中教審の答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~」が出されて以降強化されています)。

この諮問が出された背景には、日本の教育の課題を克服したいという狙いと共に加速する社会構造の変化に対応する人材を育成したいという思いがあるようです。

■アクティブ・ラーニングに期待されること

昨今のグローバル化、高度情報化、飛躍的な技術革新によって世界中のあらゆるボーダーがなくなろうとしています。それによって現在存在しているあらゆる職業が無くなり、また逆に今はない新しい職業が多く誕生すると予想されています。
経済の流れも企業の在り方も今後どんどん変わろうとしているのです。

これまでの日本は、豊富な知識を蓄えた有能な人材こそが重宝されて来ましたが、これからは知識の量ではなくその知識を使ってどのような判断をするのか、また自分の考えをどのように主張し相手の意見とすり合わせるか、あるいはどう交渉するのかといった力こそが必要とされてくるのです。まさに、「アクティブ・ラーニング」で鍛える力です。

話が大きく広がってしまいましたが、この「アクティブ・ラーニング」は個人の学習を考える上でも、自分の疑問や課題を前提として進めていく“自分ありき”の勉強なので取り組みやすい方法だと考えられます。
たとえ知識として覚えなければいけない部分でも学ぶべき内容とじっくり向き合っているので記憶に残りやすく、また躓きそうになった場合も「何が」「どのように」分からないのか言語化しやすいので教師や一緒に勉強している人にアドバイスを求めやすいのです。
少なくとも「実はよく分かってないけど授業は進んでいる」「とりあえず丸暗記してテストに備えよう」といったストレスフルな状況は減るのではないでしょうか。

「アクティブ・ラーニング」と受験

広い視野、長い目で見れば非常に有益な学習方法として期待される「アクティブ・ラーニング」ですが、実際にこの学びを実践する生徒・児童にとって気がかりなのはやはり入試のことではないでしょうか。

実は先に取り上げた文部化学大臣の諮問提出の翌月、2014年12月には中教審の方から「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体改革」という答申が出され、高校・大学の教育転換と共に大学入試を大きく改革されることについて言及されました。

具体的には2020年度から現行のセンター試験が廃止されその代わりとなる2つのテスト「高等学校基礎学力テスト」と「大学入学希望者学力評価テスト」が導入されることになります。
特に後者のテストでは身につけた知識、技能を使って解答する「思考力」「判断力」「表現力」が測られる方針です。

つまりこの「アクティブ・ラーニング」はこの入試改革の一環であり、この力を鍛えなければ今後の入試を乗り越えることはできないのです。
テストについて詳細は今まさに決められているところですが、大学によっては既に独自の入試改革を進めているところもあります。
転換期にあたる受験生は戸惑うことも多いでしょうが、この全体的な流れを把握した上で、自分に必要な情報、勉強方法をしっかりと確認しそれぞれの入試にのぞむことが大切です。

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